チャンピオン 徳島県阿南市のビデオ屋さん
住所 | 徳島県阿南市今市中新開9-1 |
ショップ名 | チャンピオン |
現在の状況 | 廃業 |
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『チャンピオン』は徳島県阿南市今市中新開9-1にあったレンタルショップで、カメラ屋さんに勤めていた店主が知り合いの勧めで85年に開いた。閉店は05年だから、丁度20年やっていたことになる。この投稿をする機会に、どうして『チャンピオン』という店名にしたのか訊ねたら、件の知り合いがやっていたレンタルショップがやはり『チャンピオン』という店名で、同じ名前だと仕入れを一緒に出来てコストを抑えられるからという現実的な理由だった。なあんだ。現実って、大抵つまらないものですね。僕は74年生まれなので、この店が出来た時は10歳くらいで、父親に連れられてその頃から通っていた。やがて中学生になると、自転車でひとりで通った。自転車のカゴの中で、貸出用の緑色のケースが揺れていたのを今でも思い出す。当時はまだ、レンタル用のバッグを出しているところはなかった。次に仕入れるソフトを相談されたこともあったが、今から思えば店主はそれほど映画が好きではなかったかも知れない。小さな店の半分はアダルト作品で、ある日、母親と店に行くと、わざわざ店主が「お母さん、お宅の息子さんはヘンなビデオは借りませんので!」と突然、言い出して、余計怪しいじゃないか!と迷惑したこともあったが今ではそれも懐かしい思い出です。「店長おすすめ」の緑色のシールが貼られた作品は、どれも微妙なB級映画ばかりだったが、彼が一番好きだという映画はフレッド・ジンネマンの『氷壁の女』だった。だからこの映画のタイトルを聞くと僕は、『チャンピオン』のことを思い出す。現在、店主の娘さんの息子、つまり彼の孫が僕の息子と同じ小学校に通っている。なんだか不思議な感じがする。不思議といえば、店がなくなってから数年後、この店舗は雑貨屋として生まれ変わった。その店の名前は『エンドア』で、『スター・ウォーズ』に出て来る緑の惑星の名前だ。『スター・ウォーズ』のシリーズをはじめて観たのは『チャンピオン』のレンタルだったし、貸出用ケースと店長おすすめのシールの色を思い出すと、それはまるで最初から決まっていたことのようだ。なんだか映画のようでもある。(HK)
個人店、木製什器、面陳、純正ケースと80年代のレンタルビデオ屋さんの要素が詰まった素敵なお店ですね。純粋な少年だったHKさんが自転車で通っている姿が想像できます。